最高裁判所第一小法廷 昭和25(れ)1055 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人石井正一の上告趣意第一点について。
本件は昭和二四年一月一日前に公訴の提起があつた事件ではあるが刑訴施行法一
三条に基ずく刑訴規則施行規則三条三号が適用される筋合である。そして同条号に
よれば裁判所は開廷後引続き一五日以上開廷しなかつた場合において所論のように
前回の開廷が単に次回期日を指定するだけのものでなくても必ずしも公判手続を更
新するの必要なく裁判所がその必要ありと認めた場合に限り手続の更新をなせば足
るわけであることは当裁判所の判例に示すとおりである(昭和二四年(れ)二〇〇
〇号同二五年二月一五日大法廷判決参照)。 されば、原審がその第四回公判と第
五回公判との間に一五日以上の経過があつたにも拘らず、公判手続更新の必要がな
いものと認めこれが更新手続をとらなかつたからといつて、原判決を目して違法の
ものということはできない。
同第二点について。
被告人のような程度の肺浸潤患者が公判廷に出頭可能であるかどうかは必ず専問
医の診断をまたなければ判断できないものと一がいに断定し去ることは早計である。
されば、被告人の起臥寝食の状況その他日常生活の状態等を通常人である司法警察
官が観察して記録した復命書によつて、原審が被告人は所論の公判期日に出頭可能
のものであると判断して、被告人の不出頭は病気によるものでないと認めてその公
判手続を停止しなかつたことはいさゝかの違法も存しない。そして記録によるも所
論期日に出頭しなかつたことの正当の事由と認められる何等の事跡も発見すること
ができないから、原審が被告人は所論期日に正当の事由なくして出頭しなかつたも
のと認めて、被告人の陳述をきくことなく(但し被告人の弁護人は出頭して被告人
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のために弁論をしていることは記録上明白である)弁論を終結し判決をしたからと
いつて、原判決には所論の違法は存しない。論旨は理由がない。
よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
この判決は論旨第一点に対する沢田裁判官の反対意見(判決に引用の大法廷判決
における同裁判官の少数意見)を除くの外裁判官全員一致の意見によるものである。
検察官竹原精太郎関与
昭和二五年一一月九日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎
裁判官 齋 藤 悠 輔
裁判官 岩 松 三 郎
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